第1シーズン

未だ始まったばかりという事もあってか、内容自体にはそこ迄捻りが無く、全体的に王道を行くイメージ。5つ星の評価が殆ど無いのは、凡そそんな所からでしょうか。とは言え俳優の演技や展開の構成、メッセージ性はこの頃から既に完成されています。

サンドキングス-Sandkings-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

自尊心-Pride-、神-God-、個-Individual-

ストーリー

火星の土から抽出された謎の生命体の卵。デイブは政府の機関でそれを研究していたが、突然調査は打ち切られてしまう。未練の残る彼は秘密裏に土を自宅へと持ち帰り、そこで研究を続ける事にしたのだが‥

感想

所謂“マッドサイエンティスト”が起こした悲劇‥という事で、結末は容易に想像が付きました。途中デイブの顔が城の一部として造られるのですが、その辺りのやり取りが上手いと思いました。

解説・考察

ここでのテーマは“自尊心”。人から認められたいという強い願望が描かれています。劇中彼は自身を“神”だと称する所迄陶酔しています。これは、極端な自尊心が転化した支配欲の顕れでしょうが、その種は決して特異では無く、誰にでもあるものを示していると考えられます。

しかし彼の倒錯した欲望は、サンドキングスと妻子の両方に因って否定される事となります。彼1人の行動がその近辺だけで始終を迎えた‥という構成が組まれている辺りに、個の限界を示唆させています。

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機械仕掛けのジェラシー-Valerie 23-

★★★★☆

キーワード-Keyword-

人間性-Human Nature-、嫉妬-Jealousy-、恐怖-Fear-

ストーリー

人間の肌と同じ感知能力と感触を持つ“シンセ・スキン”を開発したフランク。ある日彼の上司から1人の女性を紹介される。実は彼女はシンセ・スキンを利用して誕生したアンドロイドだった‥

感想

ロボット役の女性の好演が光っていました。只、全体的に少し忙しい様な気がします。これが2時間ものならば、彼女とチェスをして交友を深めて行く‥なんて展開も見られたのでしょうか。

解説・考察

“何を以って人間とするのか”を考えさせる作品。姿形や言動、果ては思考能力迄再現されたアンドロイドを、人間と同等に扱って良いのかという表面上のテーマには、人間そのものの定義が見え隠れします。

彼女の廃棄処分が決定された時、“死は怖くない”と言いました。そこから、“恐怖”という感情を機械と人間の区別にするのかとも思わせますが、彼女が機能停止する寸前に死に対しての恐怖を見せます。そうする事で、最後迄冒頭のテーマを疑念させる様に構成されているのです。

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血の兄弟-Blood Brothers-

★★☆☆☆

キーワード-Keyword-

医療技術-Medical Technology-、永遠の命-Eternal Life-、虚栄心-Vanity-

ストーリー

鎮圧剤を開発する過程で、如何なる病をも克服してしまう驚愕の薬を発見したスペンサー。しかし彼の弟はその薬が世界に出る事を恐れ、開発を凍結させてしまう。その奥には彼の狂気とも呼ぶべき野望があった‥

感想

登場人物が少ない所為か、展開に深みが無い様に感じました。只、永遠の命が手に入るにも関わらずそれを拒否した役員には関心しました。こういう部分で手を抜かないのが新アウターリミッツの良さですね。

解説・考察

永遠の命という、人類最大の欲望とも言えるものがテーマ。そしてもう1つ、何故そこ迄して死を避けたがるのか‥その理由は彼の、そして総ての人間の根源にある“虚栄心”にあります。薬の効力云々に隠れてしまいがちですが、これもまた1つの焦点でしょう。

“永遠”を望む弟と、“今”を重んじる兄。この対比が今回のメインであり、最終的に弟が堕ちてしまう事から、結局は永遠は望んではいけない禁断の世界であったと締めています。

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星からの侵略者-The Secound Soul-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

地球外生命体-Extraterrestrial life-、復活-Resurrection-、偏見-Prejudice-

ストーリー

地球外生命体ナタール人の侵略を受け、地球は大混乱となる。が、以外にも彼らが要求して来たのは人間の死体だった。死体を媒体にした彼等との共存を始め出すも、ナタール人に対しての偏見を持つ者は依然として残っており‥

感想

落とし方は見事。人間側の主役3人は、まるでナタール人との関係を運命付けられたかの様な展開ですね。欲を言えば最初の方の、ナタール人と死体を遣り取りする事が成立した辺りを、もう少し掘り下げて欲しかったのですが。

解説・考察

“初見のもの、未知のものには否定的な意見を持つ”という人間の偏見を上手く描いた作品。それと同時に、物語の造り方に対しての観客の予想をも回避するという2重の仕掛けが小気味良いです。曰く、“最後にはナタール人が反逆する”と。登場人物だけで無く観客すらもがそう考える訳です。

更に、死んだ者が魂だけを交換して蘇るという行為そのものに、“死”へのメッセージが窺えます。マイケルが友人であるジムの死体利用を頑なに拒むシーンで、そういった節が見られる筈です。

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黄泉からの光-White Light Fever-

★☆☆☆☆

キーワード-Keyword-

-Death-、限界-Limit-、執着心-Devotion-

ストーリー

100歳を超えても尚“生”に拘り続けるホークス。彼は心臓を患っており、人工心臓を移植せぬ限り死は避けられなかった。何度も心停止から蘇るホークスに、死神の手は電気を媒体に容赦無く襲い掛かる‥

感想

個人的にはこの回は兎に角引っ張り過ぎで、余り好きにはなりません。オチも見え見えでしたし‥死神の手段もインパクトに欠けていた様な気がします。ホークスが電気を恐れる余り、金属類の一切無い部屋に立て篭もる‥なんて展開があれば面白いのですが。

解説・考察

生に執着し、死を避けようとする者へ運命であるかの様に死神は迫ります。この話のテーマは人間個人としての“限界”を示しています。如何にして死を避けようとしても、定めを変える事は決して出来無い‥それは、医療技術がどんなに発達したとしても。

また、それとは別に医者側の限界と執着心も、同時に描かれている部分が評価出来るでしょう。自身の研究を捗らせる為にはホークスの援助が必要不可欠であった、と。他人の力を借りてでも研究を完遂させたかった彼は、器は違えどもホークスと同じ人種だったのです。尤も、後半に彼は老人の醜さと患者の死に因ってその事実に気が付く分、未だ救い様があるのですが。

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選ばれた少女-The Choice-

★☆☆☆☆

キーワード-Keyword-

選択-Choice-、特異-Peculiarity-、母性本能-Maternal Instinct-

ストーリー

その超能力故に問題視される少女アギー。その怪奇現象を重く見た学校側から彼女は突き放される事となる。自宅での生活を余儀無くされた彼女の前に、同じ能力を持った1人の女性が家政婦として現れ‥

感想

まぁこれもありがちなストーリーですね。あの石が何故能力を制御出来るのか、超能力者を追う団体の正体は何なのかをきちんと説明してくれれば、評価は上がっていたのですが‥これではご都合主義の低級作品と変わりません。

解説・考察

人間は集団で生きる以上、特異な存在を敬遠し、恐怖するもの。今回のテーマはそこにあります。アギーの能力は確かに特別なものでしょう。しかしそれでも彼女を想う両親や、救おうとするカレンの気持ちは、非常に普遍的なものに置き換えられる筈。それは親族に対する“母性本能”です。

後半、アギーと両親は“選択”に迫られます。何を真に優先すべきか‥その答えに気付いた時、彼等は総てを受け入れる覚悟が出来たのでしょう。

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救われた未来-Virtual Future-

★★☆☆☆

キーワード-Keyword-

未来-Future-、支配欲-Rule Desire-、可能性-Possibility-

ストーリー

バーチャルリアリティを研究する過程で未来を予測する機械を開発したジャック。超1流の開発チームに案内され舞い上がるジャックだが、その裏で欲望を実現させようと目論む男がいた‥

感想

至って普通の物語。まぁ“未来を知りたい”というのは人間の叶わぬ欲望の中でもメジャーなものですから、扱わない訳には行かなかったのでしょう。支配欲以外に捻りがあれば良かったのですが。

解説・考察

未来を予測する事で自身の“先”を知り、都合良く変えてしまう‥そこには一流の“支配欲”が渦巻いています。自身の欲の為に機械を求めるビルと、それを止めさせようとするジャック。見事な対比です。

最終的にはイマイチ深みの無いグッドエンドを迎えるのですが、それは人間の持つ可能性を示しているとも取れます。能動的に動く事により、自身の未来を変えることが出来る“可能性”‥これこそが未来予測のテーマではないでしょうか。

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バーチャル殺人-Living Hell-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

テレパシー-Telepathy-、知覚共有-Perception Sharing-、トラウマ-Trauma-

ストーリー

脳に致命傷を負ったベンは、大脳チップを埋め込む事でその一命を取り留める。だが、それ以来彼の脳裏には自分とは違う人物が殺人を犯すシーンが鮮明に浮かび上がる事となる。幻覚にしては余りのリアルさに困惑し‥

感想

一般的には超常現象として片付けられてしまうテレパシーを、この様なトランスポートで表すのは面白いですね。オチは簡単に読めてしまうものの、ベンのトラウマが一味効いている事で面白さはあると思います。

解説・考察

現在では不可能とされている事象の証明を予感させる回。脳の補完や、テレパシーの科学的解明がその具体的な例です。只、そんな時代でも矢張り人の心迄は操れない様で、殺人衝動やトラウマは現代そのままに描かれています。

大脳チップという先進的な技術ばかりに目が行きがちですが、実は後者の方がメインテーマとなっています。その事に気が付けば、テレパシーで知覚すらも共有させた理由や、ベンが警察を嫌う理由も頷けるかと思われます。

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瞳の中の悪魔-Corner Of The Eye-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

信仰心-Faith-、迷い-Hesitation-、明示-Specification-

ストーリー

長年の布教活動により信仰心を失いつつある神父ジョナスク。彼は悪魔の様な姿をした男に出会い、その仲間に自身の脳腫瘍を治して貰う事となる。その後彼等から授かった治癒能力を受け入れた彼は、新たな布教活動を行うのだが‥

感想

悪魔の造形が拙い‥のは置いておきまして、取り敢えずストーリーは普及点。神父役の人が良い演技を見せています。最後のジョンを蘇らせるやり取りには少し感動を覚えました。

解説・考察

人間の決め事というものはその環境で何とでもなり、変わり得るという事を描いた作品。始終神父の葛藤が中心となっています。疑心暗鬼から信用へと変わり、そして否定へと変化する‥この一連の流れを見せたかったのでしょう。

彼の葛藤は、それ自身では何も解決しません。しかし、悪魔の囁きや、神の啓示、治癒能力といった外的要因に導かれて立場は転々とします。そこに、彼が“明示”されるがままに行動していると、明示を解決策として求めていると、捉える事が出来る筈です。

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ベッドの下には-Under The Bed-

★☆☆☆☆

キーワード-Keyword-

童心-Child's Mind-、暗闇-Darkness-、御伽話-Fairy Tale-

ストーリー

突然何者かによって連れ去られた子供。驚くべき事に、犯人の痕跡らしきものは一切見付からなかった。一緒にいた妹も解らず仕舞い。捜査官が歴史を遡ると、過去にもある法則で同じ様な事件が起こっている事に気付き‥

感想

取り立てて面白さの見付からない作品。最後に持って行く展開には少々無理がある様な気が。生物の正体も、それに気付く捜査官もストーリーに動かされている感じでした。

解説・考察

長年語り継がれている“御伽話”には、必ず幾つかの事実と教訓が含まれているもの。そして、暗闇に恐怖するのは幼い頃誰もが1度は体験する事。その2つを踏まえて造られている作品です。

子供の言動は時に大人には理解し難い時があります。しかし、童心に潜む心を読み取れば、それもまた不可能では無い事。心理学者のジョンが逸早くそれを理解し、自分の境遇と重ねられた事から事件は解決します。つまりはテーマ自体がそこにあると言えるでしょう。

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未確認宇宙空間-Dark Matters-

★★☆☆☆

キーワード-Keyword-

極限状態-Breaking Point-、虚無-Nothingness-、信用-Confidence-

ストーリー

宇宙空間を旅していた宇宙船が突如として迷い込んでしまった空間。そこには何年も前に行方知れずとなったノーチラス号の姿もあった。時空が歪み閉じ込められた彼等は、何とかしてそこから脱出する方法を模索するのだが‥

感想

暗黒空間に落ちてしまうだけならばベタベタですが、そこに自分の肉親が存在した‥という設定のお陰で見られる迄になった作品。とは言っても個人的には無くても良いかな‥と感じてしまう回です。と言うのも、アウターリミッツは宇宙ネタが多過ぎるので‥

解説・考察

人は極限状態に陥ると周りが見えなくなり、冷静な判断を失いがちです。ここで取るべき行動とは、そして信用すべき相手とは‥?外見が自身とは全く違うエイリアンを如何捉えるかに焦点を当てています。

兄の乗っていたノーチラス号は異星人を“悪”と見做し、自滅の道を選びました。しかし10年後、この虚無から抜け出すには彼等の協力も必要不可欠だと気付いた弟は、障害を乗り越える事に成功します。その時、同時に兄との和解も成している所も、実に小気味良い仕掛けだと言えるでしょう。

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復讐を囁く女-The Convaesion-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

善意-Good Intentions-、復讐-Revenge-、決断-Decision-

ストーリー

会社の不正行為を1人で被せられヘンリーは獄内での生活を余儀無くされる。出所した彼は復讐を誓い、そして実行に移してしまうのだが、同時に彼は不可思議な現象に立ち会う事となる‥

感想

新アウターリミッツらしい作品。未来を提示するものの、その手段は一筋縄では行かず‥というやり取りが実に見ていて面白い部分です。人間の心にある善意に、上手く訴え掛けた作品だと思います。

解説・考察

どんなに他人に善意で接しても恩を仇で返されてしまう、と信じ込んだ者が描くストーリー。彼は不思議な能力を持つ者達に救われる事となります。ですが、それは只単に外見を変えてやるだけでは無く、その心の、考え方すらをも変えてやる必要があると踏んだのでしょう。

人の温かさに触れて成長するヘンリーは、これからの人生でどんな“善行”を行うのでしょうか。何れにせよ、その決断は良い方向に働きそうです。

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慈悲と愛-Quality Of Mercy-

★★★★☆

キーワード-Keyword-

慈悲-Mercy-、立場-Standpoint-、希望-Hope-

ストーリー

エイリアンに捕虜として捉えられたスコークス。彼は先に幽閉されていたブリーと共にそこから脱出しようと試みる。しかしブリーはエイリアンの皮膚を移植され、最早一刻の猶予も許されない状態だった‥

感想

オチは上手いのですが、元々閉鎖空間内の出来事なのでそのレパートリが限られるんですよね。“読めない”という程ではありませんか。まぁ両者とも演技が見事なので、見ていて飽きは来ないと思います。

解説・考察

慈悲の心を持たないエイリアンに囚われ、劣悪な環境の中で脱出を試みようとします。そこにあるのは地球への“希望”です。地球へ戻れば彼らとまた対峙出来る、対抗出来ると信じるからこその抗いだと言えます。

さて、エイリアンとは対照的に人間は慈悲の心を持っています。ここではそれが故にスコークスは自分の“立場”を見失い、機密事項を漏らしてしまう‥という救われないエンドを迎えます。これが起こり得るのがアウターリミッツの魅力だと言えるでしょう。

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愛の強さ-Caught In The Act-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

性欲-Sexual Desire-、豹変-Sudden Change-、絆-Bonds-

ストーリー

突如宇宙から飛来した謎の生物。それに取り付かれてしまったハンナは、見境も無く男に言い寄り、体内に吸収して行く。恋人であるジェイは豹変した彼女の身を案じ、解決策を探そうと奮迅するのだが‥

感想

まぁ何と言いますか‥新アウターリミッツだからこそ出来た設定です。落とし方の演出は、多少技術自慢の気が見られますね。確かにVFXは凄いのですが、それに頼るのでは無くもっと内容自体を練っても良かったのではと思います。

解説・考察

何者かに取り付かれて豹変してしまう‥というテーマは、SFの世界では昔から常套手段とされて来ました。その殆どは器が同じなのに精神が違うというギャップを、前の人格との違和感を扱うものであり、例に漏れず今回の話もそうなっています。

その上で描かれたのが特殊生命体を超越した2人が織り成す“絆”の深さ。例え豹変しようとも、お互いを信じ合っているからこそ最後の行動を取る事が出来たのでしょう。あの場面で若し尻込みしていたら‥と考えてみるのも面白いかも知れません。

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栄光の帰還-The Voyage Home-

★★☆☆☆

キーワード-Keyword-

栄光-Glory-、猜疑心-Suspicion Mind-、優先-Priority-

ストーリー

火星を探索して30日目‥最終日に彼等は途轍も無い大発見をする。それは生命体の可能性であった。調査期間が無い事に悔やみつつも帰路に着く彼等。安心し切っている彼等を余所目に、異変は確実に起こりつつあったのだ‥

感想

うーん、もう少し踏み込んだ解釈が欲しい所ですね。これでは普及点以下だと言わざるを得ません。全体的に引っ張り過ぎな感が否めないので、再構築すればもっと良い作品になるかと思います。

解説・考察

“栄光”を夢見て火星探索の旅に出、そして遂に実現しようかという時に起きた悲劇を描く作品。登場人物は3人だけで、その中でのやり取りを重視している事からもメインテーマは“猜疑心”であると言えます。

自身の栄光を取るか、それとも家族の‥引いては地球の無事を案じるか。この“決断”に迫られた彼は自爆を選びます。その際余り迷いが見られなかった事から推測するに、矢張り侵略者の怪しさを読み取っていたのでしょう。真に優先すべきは我欲では無く家族。そう思えたからこその決断だったのです。

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ミクロの暴走-The New Breed-

★★★★★

キーワード-Keyword-

超越-Transcendence-、欠陥-Defect-、暴走-Reckless Driving-

ストーリー

スティーブン博士は生物の体内に進入し、自発的に欠陥部分を修正する“ナノ・ロボット”を開発する。但し、未だ人体への影響は不可測であった。だが癌を克服したい彼の友人は、ナノ・ロボットを無断で服用してしまう‥

感想

肋骨が多重構造になったり鰓や眼球が出来る過程は、見ていて非常に面白かったです。只、そこ迄出来るのならば電気での障害も同じく抵抗出来たのでは‥と考えてしまいます。ナノ・ロボットに取って2度目の経験である訳ですし。

解説・考察

冒頭の“神は人間という欠陥品を造った。ナノ・ロボットがそれを完成品にする”という言葉が非常に象徴的。その言葉に違わず服用者の不治の病や視力を回復させます。こういった技術は近い内に、遅くとも今世紀中には実現する事でしょう。

ですが後半に於いてナノ・ロボットは“暴走”を始めます。凡そ人間を特徴付ける筈の部分を欠陥と見做し、改造する‥これを重く見た結果が今回の結末に繋がります。つまりは“血の兄弟”と同じ様なメッセージ性が読み取れます。

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人類へのメッセージ-The Message-

★★☆☆☆

キーワード-Keyword-

精神異常者-Mental Job-、信頼-Trust-、意思疎通-Communication-

ストーリー

難聴者であったジェニファーは最先端の補聴器を埋め込む事で聴覚を得ようとする。だがそこから聞こえて来るものは通常の音では無くバイナリコードに似た何かだった。彼女は必死にそれを主張するも、周りは異常者として扱い‥

感想

バイナリコード+“X”で、どうやって改行やスペースを伝えたのでしょうか。A4の紙に印刷する事を前提に‥?それにしても紙自体の1列を伝える手段が疑問ですし。まぁお粗末な話ですよね。それ以外は先ず先ずと言った所。

解説・考察

“妻を信じる”と言いつつも何処か信じ切れていない夫と、初対面にも関わらず彼女の話を真剣に聞く用務員。この2人が対比です。また、用務員は異常者として扱われていた過去を持ちます。それを受け入れたジェニファーと否定した夫も対比関係でしょう。

この回のテーマは相手を信じる事‥つまり“信頼”の重要さと、“意思疎通”の難しさです。結果的には妻の言う事が正しかった‥夫は、物語以降彼女を信られるのでしょうか。そして彼女の信頼を取り戻せるのでしょうか‥?

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私はロボット-I, Robot-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

解釈-Interpretation-、意思-Intention-、法-Law-

ストーリー

自身の生みの親である博士を殺害した容疑で捕えられたロボット。人間と同じく意思を持つ彼は法廷の場で弁護士を付け、その正当性を訴える事に。未だ嘗て無かったその特異な裁判は、様々な物議を醸す事となる‥

感想

一応は話題作‥らしいのですが、私はそこ迄魅力を感じませんでした。それは機械仕掛けのジェラシーよりも数段技術の落ちたロボットの存在にあるでしょう。矢張りあれを見ると、どうしても比べてしまうんですよね。

解説・考察

“法”は人間が作った、人間の社会の為のルール。それ故に裁判官も後に陳述する様に、“今回の様な事態を想定していない”のです。彼は裁判で争える、正当な権利を得る事になります。ここから法の解釈や可変性を示唆しています。

人間は唯一“意思”を持つ生物だと言われています。彼に備わっていたのは機械で出来たプログラム。そこに人間性があったかどうかは今となっては調べようもありませんが、自身の敵である筈の判事を事故から救ったのはそれのお陰であると思わせるかの様です。

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呼吸する家-If There Walls Could Talk-

★★☆☆☆

キーワード-Keyword-

意見の相違-Dissension-、不可視-Invisibility-、証明-Proof-

ストーリー

ある若い男女が古惚けた家で行方不明となった。男性の母親であるリンダは彼の身を案じ、心霊現象の研究家であるミッチェルと共にその家を捜索する事となるのだが、彼らの周りにも怪奇現象が起こり始めていた‥

感想

無くても良い回。同じ“有り得ない事象”を扱うにしても、こういう一方的で幽霊チックな存在との対峙は新アウターリミッツらしく無い‥と思うのですが。俳優の演技に救われていますね。

解説・考察

珍しく怪奇現象が科学的なやり方で証明され、解決を迎える回。心霊現象を一切信じないミッチェルがリンダと出会い、共に捜査して行く事で変化する心の遷移を描いています。

彼は“科学”をその最大の武器として利用します。確かにそれは“証明”という手段を用いて普遍的なものへと成り得るのですが、それでも“意見の相違”は堆く、ミッチェル自身は途中迄、そして刑事等は最後の最後迄この存在を信じませんでした。人の許容力の限界を後半では感じ取る事が出来るかと考えられます。

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自分という名の何か-Birthright-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

自己言及-Self-Reference-、陰謀-Plot-、責務-Obligation-

ストーリー

新エネルギーを推進する上院議員のアダムスは、交通事故に遭い頭部を負傷する。彼の治療に当たったマッケナは彼の脳が明らかに人間のものでは無い事に気付く。その時、突然アダムスは何者かに連れ去られてしまった‥

感想

あそこ迄大々的に動いていたら周りの人間が気付くでしょうね、普通は。メタンで覆われた星は青く見える筈なのですが、あの星のオブジェは違いますよね。恐らくは‥土星でしょう。すると彼等はタイタンから来たのでしょうか。

解説・考察

地球は異星人からの侵略を受けている‥というSFでは多く使われている手段がテーマ。その体液の主成分がメタンであったり、土星らしきオブジェをアイコンとしている事でディティールを増しています。

アダムスは始終“自己言及”をします。自分は何者なのか、任務とは何なのか、今何をすべきなのか。彼の出した答えは“陰謀”を世間に知らしめる事。但し、そのやり方が余りにも陳腐なものであった為、封殺されてしまうのが実に新アウターリミッツらしい所です。

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そのすべての警鐘-The Voice Of Reason-

★★★☆☆

キーワード-Keyword-

察知-Perception-、訴え-Appeal-、もどかしさ-Impatience-

ストーリー

地球外生命体を脅威と見る男は、国防総省に立ち会い、会議を行う事にした。サンドキングスを初めとして、そこで明らかにされる様々な真実。しかし傍聴するメンバーの中に、彼の訴えを闇に葬ろうとする者がいた‥

感想

第1シーズンの締めという事で、今迄の事件が幾つか取り上げられています。パラレルワールドでは無くこうして互いに干渉しあうのも面白いですよね。只、どうしても少し引っ張り過ぎである感は否めませんか。

解説・考察

どんなに秘密裏に行動していても、この行為を嗅ぎ取るものは少なからずいます。そして、彼の訴えを軸に話は展開して行きます。彼のいう“事実”を、何人のメンバーが“察知”してくれるのか。

メインテーマは彼の話が正しいにも関わらず、なかなか通じないという“もどかしさ”。観客は同じ様な焦燥感、歯痒さを覚えつつもストーリーを追うのです。そして、今回も前回と同じく握り潰されてしまいます。国家権力を牛耳られた時、そこにはもう個人が頼れるもの等無いという事でしょうか。

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